さむスタッフの気まぐれ日記　byさむら脳神経クリニック

【今日の出来事】

患者さんに
上原さん(仮名)と言う80代後半のおばあちゃんがいる


上原さんは旦那さんとふたりで
仲良く通院していた

高齢だが夫婦仲が良くてお互いに思いやっているなぁ、ってのが側で見ていてもわかった

ご主人さんが杖歩行になり歩きづらそうにしても
上原さんは
いつも付き添い、寄り添い
素敵なご夫婦だなと思いました

私もパートナーが出来たら上原さん夫妻みたいに
じいちゃんばあちゃんになっても
あんな風に仲良しでいたいなぁと
思いながら微笑ましく見ていた

その上原さん
いつもふたりで来ていたが一昨年からはひとりで来るように…




上原さんに訊いたら
「主人は施設に入所したのよ」との事でした


去年の8月頃
定期のMRI検査を受けに来た上原さんに私は
「ご主人さんはその後お変わりありませんか？」
と訊ねた

すると
同年(2023年)の５月に大腸癌でご逝去されたとの返事が来た


大切なパートナーを失った悲しみを私にぶつけ涙ぐむ
上原さん
しばらく上原さんの話を聞く事になり
他の患者対応の手が止まってしまった

上原さん、本当にご主人さんを愛していたのだろう、


私はまずい事聞いてしまったなと反省、
それから私は上原さんの事をずっと気に掛けていた、
電子カルテに上原さんの名前を見つけると、
「今日は定期薬貰いに来てるんだなぁ、顔出せそうなら出そう」と思いつつ、なかなかタイミングが合わず


今日
電子カルテに上原さんの名前を見つけた
今日は定期薬を貰う為の来院のようでした



たまたま患者が落ち着いた時間帯だったので
私は受付待合室へ行き上原さんにごあいさつ、

「その後、おかわりありませんか？息子さんもお元気ですか？」

と声をかけた

上原さんは

「あら、看護師さん…　お久しぶりね…えっと、こ、小松さん？」と私の名札に目をやる


私の顔は覚えているが名前が出てこない様子、

上原さんと会話した後に私は自分の部署へ戻った
しばらくしてナースが

「小松さん、今大丈夫？上原さんが呼んでいますよ、出れる？」

とナースを通して上原さんに呼ばれた
なんだろうと行ってみたら

上原さんは

「あのね…私
こう言うのをね、飲んでいるんだけどね、これ
小松さんあげるわ　飲んでね」


とカバンをゴソゴソとあさった後に高そうな滋養強壮剤を手渡された

「え！これお値段高いものですよね
お気持ちだけいただきますから
これは上原さんが飲んでくださいね」と言うと


上原さんは

「いや私はいいんですよ
今日ここに来てあなたの笑顔を見れてすごく元気を貰えたの、だからそのお礼、今日はこれは私には必要ないから小松さん飲んでね、お仕事頑張ってね…」と

滋養強壮剤を私の手に握らせた






その場で
涙がたくさん出てきたよ、

その後の患者対応はウサギさんみたいな赤い目で…
になりましたが…


私はただ、
相手が喜んでくれるかなと…ただそれだけでした


真心が伝わったのかな
こんな私でも誰かのお役に立てるのだと

心がぽかぽかするような
優しい気持ちになれました


上原さんの
自分の滋養強壮剤を差し出すと言う
行為が凄い、

自分こそ色々病気抱えて
自分こそ滋養強壮剤が必要なのに
それを他の人に差し出すと言う行為が尊い


私もその日は低血圧でめまいが続いていて
体調良くなかったので
人の優しさが心に沁みました

まだまだ足りない私ですが
私も上原さんみたいにまわりの人を思いやれる
そんな人になりたいです

上原さんに尊く感謝です


長文失礼いたしました

私にとってこの出来事は
ちょっといい事…嬉しい事
気づきをいただけた出来事だったので！


これからも笑顔と感謝、
そして真心で業務に取り組んでまいります



小松　沙紀